管理職だから残業手当は必要ない?

管理職は残業代がいらないということで、多くの従業員を管理職として残業代を全く支払っていない会社は多いと思います。

実際、私が知っている会社では、従業員15名(事務員1名含む)の内14名が管理職とされていた会社がありました。

確かに労働基準法41条2号には

「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」と定められており、この管理監督者に該当する場合には、労働基準法37条の1項の労働時間、休日、労働基準法34条の休憩が除外されています。

ただし、管理監督者であっても、深夜労働に対する割増賃金や年次有給休暇については適用除外されていませんので、何時間働かせても時間外割増賃金は一切不要というわけではありません。

また、管理監督者についても、長時間にわたる過重な労働にならないようにする必要があり、長時間労働となった場合には、労働安全衛生法に基づき医師による面接指導等の健康管理に係る措置が必要となる場合もあります。

労働基準法の「管理監督者」とは、

労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をとされ、「管理監督者」に当てはまるかどうかは、役職名ではなく、職務内容、責任と権限、勤務態様等の実態によって判断されています。

 

会社の内で管理職とされていても、次の判断基準に基づいて総合的に判断した結果、労働基準法上の「管理監督者」に該当しない場合には、労働基準法で定める労働時間等の規制を受け、時間タト割増賃金や休日割増賃金の支払が必要となりますので注意が必要です。

1.労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること。

2.労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な責任と権限を有していること。

職務内容、責任と権限について管理監督者性を否定する重要な判断要素

(1) 採用 

店舗に所属するアルバイト・パート等の採用(人選のみを行う場場合も含む)に関する責任と権限が実質的に無い場合。

(2) 解雇 

店舗に所属するアルバイト・パート等の解雇に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合。

(3) 人事考課
人事考課(昇給、昇格、賞与等を決定するため労働者の業務遂行能力、業務成績等を評価すること)の制度がある会社では、その対象となっている部下の人事考課に関する事項が職務内容に含まれておらず、実質的にもこれに関与しない場合。
(4) 労働時間の管理
店舗における勤務割表の作成又は所定時間タト労働の命令を行う責任と権限が実質的にない場合。
3.現実の勤務実態も、労働時間等の規制のなじまないようなものであること。

勤務態様についての管理監督者性を否定する重要な判断要素

(1) 遅刻、早退等に関する取扱い

遅刻、早退等により減給の制裁、人事考課での負の評価など不利益な取扱いがされる場合。

ただし、管理監督者であっても過重労働による健康障害防止や深夜業に対する割増賃金の支払の観点から労働時間の把握や管理が行われることから、これらの観点から労働時間の把握や管理を受けている場合については管理監督者性を否定する要素とはならない。

(2) 労働時間に関する裁量

営業時間中は店舗に常駐しなければならない、あるいはアルバイト・パート等の人員が不足する場合にそれらの者の業務の自ら従事しなければならないなどにより長時間労働を余儀なくされている場合のように、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないと認められる場合。

(3) 部下の勤務態様との相違

管理監督者としての職務も行うが、会社から配布されたマニュアルに従った業務に従事しているなど労働時間の規制を受ける部下と同様の勤務態様が労働時間の大半を占めている場合。

4.賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること。

賃金等の待遇について管理監督者性を否定する補強要素又は重要な要素

(1)基本給、役職手当等の優遇措置 (補強要素)

基本給、役職手当等の待遇措置が、実際の労働時間数を勘案した場合に、割増賃金の規定が適用除外となることを考慮すると十分でなく、当該労働者の保護に欠けるおそれがあると認められる場合。

(2)支払われた賃金の総額 (補強要素)

一年間に支払われた賃金の総額が、勤続年数、業績、専門職種等の特別の事情がないにもかかわらず、他店舗を含めた当該企業の一般労働者の賃金総額と同程度以下である場合。

(3)時間単価 (重要な要素)

実態として長時間労働を余儀なくされた結果、時間単価に換算した賃金額において、店舗に所属するアルバイト。パート等の賃金額に満たない場合。

特に、当該時間単価に換算した賃金額が最低賃金額に満たない場合は、管理監督者性を否定する極めて重要な要素となります。